筋トレにおいてのよくある疑問。
今回はこちらの疑問に答える形でお伝えしていきます。
タイトルにもありますが、初めに結論から言ってしまうと「筋トレ前のストレッチは逆効果なのでしなくてOK」です。
運動前はストレッチという概念は誰しもあることで、怪我の防止やパフォーマンスの向上に期待ができるというのは紛れもない事実。
しかし、こと筋トレにおいてはこれに当てはまりません。
筋トレの基礎知識でもあるこれらのことを、分かりやすく解説していきます。
記事の内容
- 筋トレ前のストレッチは筋肥大の効果を減少させる
- ストレッチは十分な筋力が使えず、運動量が低下する
- 筋トレ前のストレッチに変わる「最強のウォームアップメニュー」
タップできる目次
筋トレをする前のストレッチは意味がない
運動前のウォームアップであるストレッチはけがを予防できるというメリットの反面、「筋トレのパフォーマンスを低下させる」というデメリットがあります。
筋トレをして筋肉を大きくさせたり体を大きくすることを目標にしている方にとっては意味のない事であり、不要なものです。
科学的な研究報告は多数存在している
2004年には世界で初めて、ストレッチにより筋力やジャンプなどの瞬間的な力を低下される事が明らかにされています。
2006年には欧州スポーツ医学会が、2010年にはアメリカスポーツ医学会が、さまざまな研究報告で同じように「パフォーマンスを低下させる」と発表しています。
筋トレ前のストレッチがパフォーマンスを低下させ逆効果となる3つの理由
具体的な理由は3つ。
- 一部の筋繊維の収縮しかできなくなる
- 筋肉の性質を十分に利用できなくなる
- 筋肉内の血流が貧血状態になる
それぞれ簡単に解説します。
1.一部の筋繊維の収縮しかできなくなる
筋肉はさまざまな筋繊維が重なり束になっているもの。
筋肥大を効果的に行うポイントは「筋肉を形作っている全てを同時に収縮させること」です。
しかし、ストレッチをしてしまうことで神経活動が減少して、一斉に筋肉の束を収縮させることができなくなってしまうのです。
2.筋肉の性質を十分に利用できなくなる
筋肉はゴムのように伸び縮みする性質があります。しかしストレッチをしてしまうと、この作用を低下させる効果があり、結果的に本来の力が発揮できないという状態になるのです。
要するに十分な負荷を与えることが難しくなってしまうわけですね。
3.筋肉の血流が貧血状態になる
単純に血液の流れが悪くなり、トレーニングの際に作り出される疲労物質を除去できなくなります。
「疲労物質が残る=疲れが出やすくなる」ということで、これも結果的に収縮の回数を減らしてしまい、パフォーマンスの低下に繋がるのです。
一つ一つはそこまで影響はでないものの、合わせると結構な悪影響となるのはなんとなく分かりますよね。
筋トレ最大の目的である筋肥大効果も減少させる
当然のことながらトレーニングのパフォーマンスを低下させてしまうということは筋肥大の効果も減少します。
これについて、実際に検証した研究報告もしっかり存在しています。
その検証方法は下の通りです。
- ストレッチを行いトレーニングをするグループ
- ストレッチをせず同様のトレーニングをするグループ
それぞれに分け、週2回の筋トレを10週間続けた後の「外側広筋(膝からふとももあたりの筋肉)の肥大面積」と「トレ時の運動回数や総負荷量」を計測
ストレッチをしたグループは総負荷量の減少・筋肥大の効果の減少が見られた
ストレッチをしなかったグループとしたグループを比べると明らかにしていなかったグループの方が、運動の回数や総負荷量が多い結果となったのです。
また筋肥大を示す筋断面積は
ストレッチ有⇒7.2%増加
ストレッチ無⇒12.7%増加
という結果に。
この検証結果により、ストレッチが筋トレ時のパフォーマンスを低下させ、長期的な目で見た筋肥大の効果も低下させてしまうことが分かったのです。
どうしてもストレッチをしたい時は?
筋トレ前にはストレッチをしない方が良いですが、「運動前にはどうしてもストレッチしないと落ち着かない!」という方もいるかと思います。
その場合は少しならOKです。
一つの筋肉に対するストレッチの時間を「30秒以内」にすればトレーニングに影響は出ないという報告もあり、そうすることで筋トレの質を下げることなく怪我を予防できるのでおすすめです。
筋トレ前の最強の準備運動とは
あります。その際におすすめのウォームアップメニューは下の通り。
筋トレのパフォーマンスを高める準備運動
- 有酸素運動を10分~20分行う
- その日に行うトレーニングを軽い強度で行う
要するにどちらも文字通りウォームアップ、体を温めるということですね。
有酸素運動で体温を2~3℃上げる
人間は体温が1℃上昇すると「最大等速性筋力」が約5%上昇し、垂直飛びの高さが約4.5%上昇すると言われています。
体温を適度に上昇させるために最も推奨されているのが、ジョギングやペダリングなどの有酸素運動です。
有酸素運動を10分ほど行うと体温が2~3℃上がり、少なくとも20分続けると温度がピークを迎えます。
この際の推奨されている運動強度は最大心拍数の60%。
軽くこなせる程度で十分ですので、筋トレ前にはそのような有酸素運動を取り入れると良いです。
その日に行うトレーニングと同じトレーニングを軽い負荷で行う
このウォームアップ法は「特異的ウォームアップ」と言われており、有酸素運動によるアップと違い特定の神経・筋活動の活性化をし強度と回数をより高める効果があります。
野球のバッターは打席に入る前に素振りをし、ピッチャーはマウンドに上がる前に投球練習をしますよね。あれも特異的ウォームアップです。
バッターが打席に入る前に投球練習をしてもバッティングのパフォーマンスは向上しません。
- 同じ動作を軽い負荷で繰り返すときにこそ、パフォーマンスの向上に繋がる
また、本来の力を発揮しより質の良いトレーニングが行えると同時に、怪我の防止の効果にも期待ができるのも良いポイントです。
筋トレはその日その日で特定の部位を鍛える場合が多いので、このウォームアップ法はかなりおすすめです。
筋トレ前のストレッチは不要!逆効果な理由と「本来やるべきこと」:まとめ
もう一度はっきり言いますが、筋トレ前のストレッチは怪我の防止に良いものの、質の良いトレーニングをするために適切なものではないです。
どうしてもストレッチがしたい場合は各部位30秒以内にし、推奨は「有酸素運動10分~20分」か「同じトレーニングの軽い負荷」を行うことです。
本来の力を最大限発揮して、より筋トレの効果を高めたい方は是非意識してみることをおすすめします。